遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる その3 ~墨田区で長年相続手続きをしている司法書士がご説明します~
こんにちは
今回は、前回、前々回に引き続き、
遺言の撤回について お話します。
1.「遺言の撤回」の意思表示がなくても、撤回となることがあります
(1)前の遺言と後の遺言の内容が抵触する
一つ目は
前の遺言と後の遺言の内容が抵触する場合です。
これはたとえば、
第1の遺言で
「甲土地を長男Aに相続させる」
「乙建物は長女Bに相続させる」
としていたが、
第2の遺言で
「甲土地を長女Bに相続させる」
とした場合などが該当します。
☆遺言は、遺言者の最終の意思を尊重します
ので、
甲土地については、
「長女Bに相続させる」とした以上は、
第一遺言の「長男Aに相続させる」という部分は
撤回したのだ、と判断するということです。
前の遺言と、後の遺言で
両立できない内容があった場合は、
遺言の全趣旨から、遺言者の真意を探求し、
撤回の意思があったのかどうか
判断することになります。
(2)遺言に抵触する生前処分があった場合
二つ目は、
遺言に抵触する生前処分があった場合です。
これはたとえば、
遺言で 「甲土地を長男Aに相続させる」
としたものの、
後日、遺言者が甲土地を売却した場合、
甲土地に関する遺言は撤回された、となります。
(3)遺言者が故意に遺言を破棄
三つめは、
遺言者が故意に遺言を破棄した場合です。
自筆証書遺言を作成し、
自身が保管している場合などでは
その遺言を故意に破り捨ててしまえば、
遺言そのものが消滅してしまうので、
遺言が撤回されたとなるのは当然かと思います。
大変判断が難しいのが、
文章に斜線、打ち消し線などが引いてあるが
内容が判読できる場合です。
自筆証書遺言は、訂正の仕方にもルールがあります。
このルールに沿っていない訂正なのだから、
訂正は無効で、結果として、
訂正前の遺言の内容が維持される
(遺言は破棄されていない)
と判断するのか
「いやいや、一般常識として、斜線、打ち消し線は
遺言を取り消す意思表示の表れでしょう」
として
「故意に遺言を破棄した」
と判断するのか
という争いになります。
自筆証書遺言の厳格なルールの尊重と
遺言者の真意の尊重
どのように判断すべきなのか とても難しいところです。
(4)遺言者が故意に目的物を破棄
遺言者が故意に、
相続させようと思っていたものを
破棄した場合も撤回とみなされます。
破棄が、
故意なのか、
誤ってなのか 、
第三者によってなのか
それによって、遺言が撤回されたかどうか
判断が変わってきます。
遺族の方が 判断に迷い、争いにならないように
遺言の作成、撤回等をしていきたいですね。
2.遺言書の作成は司法書士事務所へ依頼ください ~墨田区・江東区で相続中心の司法書士事務所~
東京法務局墨田出張所近くで、
2007年から司法書士事務所をしています。
遺言の作成・ご相談もたくさん受託しています。
お気軽にご相談ください。
司法書士田中浩史事務所称
住所:東京都墨田区立川2-3-1
電話番号:03-3634-8489
FAX番号:03-3634-4136
NEW
-
2023.05.07
-
2023.05.06【配偶者居住権】残さ...こんにちは 今回は、「配偶者居住権」という制度を...
-
2023.01.18【遺産分割協議書の作...こんにちは今回は、「遺産分割協議書の作り方」4...
-
2023.01.18【遺産分割協議書の作...こんにちは今回は、「遺産分割協議書の作り方」3...
-
2023.01.16【遺産分割協議書の作...こんにちは今回は、「遺産分割協議書の作り方」の2...
-
2023.01.15【遺産分割協議書の作...こんにちは今回は、「遺産分割協議書の作り方」に...
-
2023.01.02【空き家・空き地を手...こんにちは 前回は、空き家・空き地問題について ...
-
2023.01.01【空き家・空き地を手...こんにちは今回は、利用価値が見いだせない「空き...