生命保険と遺産分割

query_builder 2022/10/27
相続登記
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こんにちは。

今回は、生命保険金と遺産分割に関するお話です。


残される家族のために、生命保険に加入されている方は多いと思います。

今回、このようなお話がありました。


〇依頼者Aさん

夫Xが死亡。相続人は妻A、長男B、長女Cの家族。

主な遺産は自宅(評価額1500万円)、預貯金500万円、

そして妻Aを受取人とする夫Xの死亡保険金1000万円がありました。  

※この保険料は夫Xが契約者として支払っています。  


〇相続財産は3000万円

それでは遺産分割協議の対象となる財産はいくらになるでしょうか?

答えは、原則として2000万円です。

死亡保険金1000万円は受取人固有の財産であり、相続財産ではないと解釈されているためです。


〇ただし、例外があります

特段の事情がある場合です。

これは「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が到底是認することができないほどに著しい特段の事情がある」場合に民法903条の「特別受益」を類推適用するといった解釈があるからです。

今回のケースが「到底是認することができない著しい不公平」に当てはまるかどうかは、残念ながらわかりません。

たくさんの裁判例があり、金額が少額であっても、他の様々な事情を考慮して「特別受益」と判断されているケースもあります。

特別受益だと判断されれば、今回のケース、生命保険金1000万円は計算上相続財産となり、遺産分割の対象となります。


〇遺産分割協議書の記載  

今回のケースでは、Aさんが自宅の2分の1、Bさんが自宅の2分の1と100万円、 Cさんが400万円を取得するという内容で、遺産分割をしました。

そして、生命保険金もAが取得する財産として遺産分割協議書に記載しました。

これは特別受益に該当する可能性のある生命保険金も、相続人全員が考慮したうえで遺産分割協議をしたことを明確にしておくためでした。  


今回は元々揉めているご家族ではなく、財産の分け方もだいたい決めてらっしゃいましたので、弁護士さんに登場してもらうことなく、手続きは完了しました。  


生命保険は、相続対策のひとつとして有用ではありますが、たくさんの裁判例があるように、場合によっては争族の原因となることもあります。

感情的な対立にならないように、相続人にとって不意打ちになるようなことは避けた方が良いかもしれませんね。


東京法務局墨田出張所近くで司法書士事務所をしています。

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