特別受益②~持戻し免除と遺留分~

query_builder 2022/10/25
相続登記

こんにちは。

今回は特別受益の持戻し免除についてのお話です。


前回「特別受益①」で、相続人に対する生前贈与などがある場合、それを「特別受益」として、計算上遺産の金額に戻して計算するというお話をしました。


これは相続人間の不公平をなくそうという趣旨・目的なのですが、被相続人が相続人の一人に多めに残そうと考えていた場合には、それを出来なくしてしまうということにもなります。


そこで生前、持戻しをしなくてよいという意思表示をしておけば、計算上遺産の金額に戻す「特別受益の持戻し」をしないことを可能としました。

これを「特別受益の持戻し免除」といいます。 意思表示の方法は、黙示でも良いとのことですが、争いの元になりかねませんので、できれば遺言などで明確にしておくことが良いでしょう。  


なお、特に持戻し免除の意思表示がなくても、意思表示があったものと推定する遺贈又は贈与があります。

下記要件に該当する夫婦間での居住用不動産等の贈与・遺贈です。

〇婚姻期間が20年以上の夫婦の一方配偶者から他方配偶者への遺贈又は贈与であること

〇対象物が居住用建物又はその敷地であること

これは、贈与税の特例要件と重なっており、高齢配偶者を保護する趣旨と言われています。  


ところで、残された相続人に最低限保障される相続分として「遺留分」というものがあります。

例えば相続人が妻A、子B、子Cの場合は、被相続人が全財産を子Cに贈与するという遺言を残したとしても、法定相続割合の2分の1、つまり妻Aは8分の2(4分の2×2分の1)、子Bは8分の1(4分の1×2分の1)相当額の金銭的保障は受け取れるという決まりです。


では、この「遺留分」に対し「特別受益の持戻し免除」がその遺留分を侵害した場合はどうなるでしょうか。


答えは、遺留分が優先される、です。

特別受益を持戻して、遺留分を計算することになります。


ただし令和元年7月1日以降に発生した相続については、「持戻し免除がされた特別受益」は、相続開始10年以内に行われたもが、遺留分を査定する基礎財産の価額に含まれるとされていますので、たとえば15年前に住宅購入資金を贈与した場合などで、持戻しを免除していれば、遺産分割にも遺留分の計算にも、贈与(特別受益)はなかったものとして話が進んでいくことになります。  


何だか、話がややこしくなってしまいました。


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